前回は遺言書を書かなかった場合の相続される財産の割合をくわしく わかりやすく伝えさせて頂きました。
今回は遺言書をなんで書く必要があるのか?
遺言書にどんなことを書くことが出来るのか?
について学んでいきましょう。
相続分の指定
上の記事で遺言書を書かなかった場合の財産の分け方(法定相続分)の説明をさせて頂きました。
しかし、あくまで遺言書を書かなかった場合の相続する割合ですので
遺言書を書く方の考えで違う割合で相続額を振り分けることができまし、具体的な金額や不動産などを指定できます。
- 一般的に相続人になる予定の人(配偶者、子)に対しては「相続させる」という言葉を使います。
一方 「遺贈」するという言葉をは相続人以外の人(内縁の妻、愛人)に対して使うものですのでご注意下さい。
これ以外の解釈が分かれる表現は相続が発生した後争いになりますので、このような表現が好ましいです。
相続分の指定の例
遺言書を遺す方と配偶者と子がいる家庭だとします。
- 配偶者に5分の4「相続させる」
- 子に5分の1「相続させる」
という風に書くことができます。
遺留分減殺請求されたときの処分する財産の順序
遺言書を遺す方の自由な意志で財産を相続人ごとに受け継がせることを書けると説明しました。
しかし、法律では相続人を保護するために法定相続分の2分の1(親のみが相続人の場合は3分の1)を他の相続人に対して請求することが出来るのです。
例えば、「よく介護をしてくれる子」と「全く関わりを持とうとしない音信不通の子」がいたとします(配偶者はいないこととします)。
遺言書を遺す方は当然献身的な子に対して多く相続させてあげたいとお考えだと思います。
よく介護をしてくれる子に対して相続財産を全額「相続させる」
という遺言書を遺された場合、
音信不通の子は介護をした献身的な子に対して相続財産の4分の1を請求することができちゃうのです。
何故かと言うと子2人のそれぞれの法定相続分は2分の1ずつです。
遺留分というのは法定相続分に2分の1をかけたものですから、
2分の1(法定相続分)×2分の1(遺留分)=4分の1(子1人あたりの最低もらえる相続額)
ということになるのです。
しかし、あくまでこの遺留分を請求するかどうかはその相続人の「良心」によって請求されるかどうか決まる「権利」です。
従って必ず遺留分が遺言書に反する形で他の相続人のもとに行ってしまうものではありません。
とは言ってもやはり「遺留分」を請求される事が多いので対策を施しておくべきです。
そこで遺言書を遺す方はあらかじめご自分の財産をしっかり把握しておく必要がございます。
例えば不動産と預貯金や有価証券が相続財産としてお持ちの場合は、
不動産という分割しにくいものを遺留分として請求されないために
遺言書に
「音信不通の子(氏名)は預金、有価証券、不動産の順で遺留分の減殺をするものとする」や、
「不動産以外の相続財産から遺留分の減殺をするものとする」
などと書いておくことで、介護をしてくれた相続人は不動産の処分が容易になるということや他の冷え切った関係の相続人との間で無用な接触を避けることができます。
祭祀主催者の指定(喪主)
祭祀主催者の指定というのはわかりやすくいえば「喪主」「墓守」などの仏具等の宗教的な権利や財産を受け継ぐ人を指定するということです。
地方の慣習などで遺言に書くほどでもないという方もいらっしゃいますが、
自分がどのようなお葬式がいいとか、どのようなお墓がいいとかを相続人に指定してあげると、遺された相続人は葬式や墓の内容迷うことなく意見が別れることもなく済むので、是非とも祭祀主催者の指定は書いておくべき項目だと思います。
遺言執行者の指定
遺言執行人とは遺言を遺された方が定めた遺言書の分割方法等に従って、各相続人に対して行う名義変更等を代表して行う人のことです。
金融機関の預金や自動車の名義変更などをいちいち相続人全員の署名と実印を別々の委任状に貰ったり、協力をしてもらうのは手続きをする上で時間がかかりすぎてしまいます。
ですから代表する遺言執行人に代わりに手続きをして貰う必要があるのです。
遺言執行人は未成年者や破産者以外の方なら誰でもなれますので相続人の方になってもらうこともできます。
もちろん法律家である行政書士も遺言書の作成の際に遺言執行人に指名頂くことがありますがその場合は複雑な相続でも迅速な名義変更ができます。
遺言執行人を必ず専任する必要がある場合
- 認知
- 相続人の廃除(遺言書を遺す被相続人に対し名誉毀損や暴行等をはたらいたことがある相続人に対し相続権を剥奪すること)
などは遺言執行人が必ず必要です。
手続きが非常に複雑ですので遺言執行人は法律家である行政書士にお任せになったほうが安心だと思います。
以上に述べたものが比較的遺言書を遺される方に多い内容のものです。
他にもあまり使われないような細かなものがございますので、行政書士が依頼人様から聴き取る際にご提案させて頂きます。
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